やりたいことできるか、自分しだい
地方創生として国が地方の活性化を推進する昨今、自ら選択し地方に移住して生活をされている方も多くなってきました。2013年に篠山へ移住してきた仲谷さんは、以前は大阪の中心街で居酒屋やショットバーを経営するオーナーとして活躍していました。
“移住したきっかけは、旦那が篠山に仕事で来た時に一目惚れしたみたいで、ここに住みたいって言うから、私も一回遊びに行ってみようかという程度の気持ちで来たら気に入っちゃったんよね。”
仲谷さんは、25歳の時に友人と一緒に共同でレストラン・バーを立ち上げた後、カウンターだけの自分一人でできるお店やショットバーなどを次々と展開し、都会での暮らしを楽しんでいたそうです。
“当時のスタッフの子らもよく遊びに来てくれるよ。「あの頃が一番楽しかった、青春時代だった」って言ってくれる。その子らは今でも春になったら、しし鍋食べに遊びに来てくれたり、イベントにも来てくれたりするかな。”
“田舎暮らし、とか、都会暮らし、とか分けて考えるけどさ、どこにおっても一緒やで(笑)。スマホあれば情報あるし、自分次第やん?それやったらようけ空気吸える方がええな(笑)”
あっけらかんと笑っている仲谷さん。確かに、ITが発達したこの時代、都会にいても田舎にいても本人が望めば情報は入って来る。こと情報の面においては、田舎で暮らすことのデメリットは減っているのかもしれません。
地域を巻き込むモンスターイベント
篠山の中でも山間に位置する大芋地域に住む仲谷さんは、廃校になった小学校を使って地元の人たちと月に1回フリーマーケットを開催したり、音楽イベント、天然酵母のパン屋ばかりを集めたイベントなどを次々と手がけていきます。
“いろんなイベントやったけど、改めて都会と田舎で違いってそんな無いんかな?って思う。こっちの人の方がイベントとかで遊んでる気がする。他にもハンドメイドの良いもの買ってたり、遊びを作り出すの上手やし。地元の人らは「何もないところ」と言うけれど、すごくいいものを手にしてたりするんよね。”
“今一番楽しいのは「PAN LOVE」ってイベント。大阪で一緒に修行してた同僚が篠山よりもっと北の、朝来市にUターンしてて。「田舎に行ったからには何かをせなアカンやろう」って話しながら仲良い仲間で企画して開催したんやけど。”
仲谷さんの住む大芋地域で開かれたこのイベントには開催前から数百人が集まり、午前中には全てのパンが完売してしまったほど。朝来市竹田城の開催でも、二千人近くの人が集まりました。
“やっぱり自分らが楽しんでないとあかんなあって思った。地域活性とか大義名分を掲げるより、そういうイベントの方がモンスターイベントになったなって。”
死生観と、やりたいことをやること。
“私らも自分らがやりたいことをやるために来たからさ、移住したいんやったらやりたいことやったらええと思うよ。万事暇つぶしやから(笑)失敗しても別にええやん。”
“私、死にかけた事があるんやけど、湯上りに立ちくらみで気絶したんよね。何回も起き上がろうとしたんやけど、脳は起き上がってるのに体がついてこなくて、「あ、これ私死ぬんかな、怖い」って思ったんやけど、なんかその時めっちゃ幸せな気持ちやってん。結局起き上がれたんやけど気絶から目覚めて痙攣してる最中、ドーパミン出て最高に気持ち良くて。それから死の恐怖が無くなったんよね。そう思ったら今は人生の消化試合中やからやりたい放題やってるわけ。(笑)”
仲谷さんの様に稀有な経験をしたり、都市部でも貴重な経験を積んでいる人は少ないかもしれません。けれど、どの話を聞いていても確信をつかれた様な気持ちにさせられます。「やりたいこと、やったらええやん。」まさにそれを体現しているような仲谷さんの今の暮らしは、少しだけ自分と向き合えば、もしかしたら誰もが得られるものなのしれないなと感じました
□Aell info
PAN LOVE
開催日:不定期開催 (Facebookページで開催案内)
WEB: https://www.facebook.com/panloverpanlove