住んでから知った、まちの魅力
自分らしく生きること、楽しく生きること。その人にとって納得のいく選択をしていれば、それは田舎であっても都会であってもあまり変わらないものなのかもしれません。北村春恵さんは、生まれ育った神戸を離れて1年前に篠山市へ移住してきました。しかし、特に田舎暮らしがしたかったという理由ではなかった様です。
“私は神戸で生まれ育って、大学も、社会人生活もずっと神戸だったんです。ただ、おばあちゃんが篠山生まれでお正月やお盆の時は篠山に来てたんですね。でも、特に田舎暮らしがしたかったわけではないんです。興味もあまりなかったんですよ。あ、でも別に嫌いだったというわけでは全くないですよ。ただ、神戸でわたしはずっと暮らしていくんだ、って思ってましたね。”
社会人生活で感じた違和感
神戸生まれ、神戸育ち。大学卒業後は信用金庫で事務職として働いていたそうです。田舎で暮らすイメージも全くなかった北村さんですが、お仕事の中で感じた想いから退職、その後、篠山へ移住してくる事になります。
“大学ではサービスについて学んでいたのもあって、おじいちゃんおばあちゃんに接客をしたい、と思ってたんですよ。あと、安定も求めてたので信用金庫の事務職として働いたんですね。でも、何年か経って会社が方針を変えて、事務職から営業もやる様になったんです。”
“営業では、保険とか投資信託の販売をしてたんですが、やっぱり営業なので目標もあって。ダメな商品を売るわけではもちろんないんですけど、当然リスクもある商品をお客さんに売りに行ってる自分の理由が、たまにノルマだったり目標だったりすることに違和感を感じちゃって。これ、本当に自分がやりたい仕事だったかな?と思ったんですよ。”
本来自分がやりたいと感じていた仕事との乖離がある事は、組織に入れば決して珍しい事ではないと思います。職場の人間関係も良好で、大きな不満があったわけではなかったそうなのですが北村さんは「何か違う」と感じた気持ちをたよりに、退職を決意します
感動したこと。自然と、人と。
ちょうど転職先を探していたころ、篠山にいる親戚に「こんな仕事があるよ」と紹介してもらったのが篠山市役所の仕事。北村さんは採用試験に受かり、そのまま篠山へ移住してくる事になります。
“移住してきた最初のころに、ボランティアで農作業をした事があったんですね。なぜかその時に、あ、来て良かったなって思ったんですよ。自然が近くて、農業に触れられることって、特に子どものころにもいいんじゃないかなって感じましたね。”
“他にも、ひとの温かさにはよく感動させられるんです。私今は車がなくて、毎日バスで通勤してるんですが、いつも降りる職場の近くのバス停を寝過ごしかけた時に、運転手さんが「降りるとこやで」って声かけてくれたり。背負ってるリュック開いたままスーパーに行ったりした事もあって、おばちゃんに「おねえちゃんカバン空いてるで」って教えてくれたり(笑)”
とても人懐っこい笑顔でお話される北村さん。北村さんにとって、人と人が近くて、他人であっても温かいコミュニケーションが残る篠山の暮らしは居心地が良いようです。
四季が移り変わる楽しみ。
“こっちに来て良かったなって思う事は色々とあるんですが、四季の変化を身近に感じられる事はとても楽しいんですよ。桜吹雪ってものを本当に見た時とか、すごくテンション上がったり、蛍が見れたのも嬉しかったなあ。神戸だと季節を感じる期間が短いので感じにくいんですよね。今住んでる家は朝起きて外を見ると田んぼと山が広がってて、雪の日は山に雪がかかってたりするのを見ると幸せな気分になりますね。”
春が来て桜が咲いて、山菜がたくさん採れたり、夏には蛍が舞い夏祭りが行われ、緑が深くなっていく。秋には収穫の喜びがあって、過ごしやすい日中は静かに読書を楽しんだり。冬には紅葉が見られて、雪が降った日はシンとした冷たい空気を深呼吸して思いっきり吸い込む。そういう四季の移り変わりは、田舎だと本当に色濃く感じられるものです。昔の人はこの感動を歌に謳ったのかなと想いを馳せたり心から自然に感動できる暮らしは、北村さんにとって豊かで幸せなものなのだなと感じさせられました。
□Aell info
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