貞廣泰子

貞廣泰子

足りないから、自分で創る

田舎には楽しみがない?田舎は閉塞感がある?都会を離れ移住した人たちもそれぞれ違うから、楽しみ方は十人十色。「薪」をキーワードに篠山で様々な活動をされている貞廣泰子さん(63)は、兵庫県の尼崎から2009年にご夫婦二人で移住して来ました。

“尼崎にいた時から、自分で触ってできる事が増えていったりわかるようになるのが楽しみで、無料のパソコン教室や公開講座を受講していたけれど、篠山に来てからはそういった講座とかがあまりなくて。”

移住当初は、何かを勉強する為の情報や場がとても少ないと感じたそう。ですが、それが逆に移住前から感じていたある問題意識を「自ら」解決する為の活動を始める理由になります。

身近に感じていた問題意識

“尼崎に住んでいた時に、環境問題を取り上げているテレビを見て。ドイツでは国全体でゴミの分別や環境に配慮した暮らしをしているということを知ったんです。”

テレビをきっかけに身近に感じた環境問題。移住してからも、「豊かな環境は山から創られる」と篠山に移住してからも日本の木だけを使った家に住んだり、薪ストーブで山の木を使う事で、山を元気にする事を意識した生活をされていました。

人と人が繋がるスピード

そんな時、貞廣さんは「篠山で楽しく暮らし隊」という篠山に住む有志で集まったコミュニティに参加します。そこで薪が欲しいという話をした事から、「薪」の活動の話が進んで行く事になります。

“みんながFacebookをしていて、びっくりしたんですよ。電話番号を聞くより、Facebookやってる?って。それで、Facebookを始めたらあの人もこの人も、と面白い人たちを紹介してもらえるし、薪の事に詳しい人や木を切れる場所をどんどん紹介してもらって。”

田舎には、昔ながらの人と人が近いコミュニティが色濃く残っている。そんな風土はインターネットが発達した事で希薄になるどころか、より人間らしい繋がりを広範囲に生み出していく手助けをしていました。

自分たちで生み出す事が楽しいまち

その後、同じ想いを持った方たちと「篠山里山薪倶楽部」という活動を始めた貞廣さん。現在もお仕事は大阪まで通いながら休日を使って薪に関する活動を続けていらっしゃいます。

“都会に当たり前にあって便利な事が田舎に来ても享受できると思うより、あるものを使って生み出したり、自分で何かを求めて踏み出していける人・またそれを豊かだと感じる事のできる人には、本当におすすめのまちだと思いますよ。窓口は開いているから、後は自分がどう努力するかが篠山暮らしを楽しむポイントですね。”

田舎には情報が少なく課題が多い。それは逆に、静かで豊かなスペースがある裏返しで、「自分で解決する楽しみ」という余白がたくさん残っていると解釈することもできる。都市で暮らしている時に感じる「自分ではどうしようもできない問題」は小さなまちでも存在していて、それは「一緒に解決できる問題」になっている事が田舎暮らしの楽しみの本質なのかもしれない。

プロフィール

名前:貞廣泰子
性別:女性
年齢:63歳
家族:旦那さんとお二人
所属:大阪の公的機関で受付窓口のお仕事
移住:2009年8月
出身:京都府(育ちは広島)
移住前の居住地:兵庫県尼崎市