ポスター一枚が人生をかえた
大学を卒業すると都市部での就職が一般的ですが、最近では自らの意志で海外や地元、片田舎へ就職する人たちがいます。三和 久実花さん(30)も、大学を出て都会での就職を考えていましたが、ある一枚のポスターを見たのをきっかけに篠山市にやってきました。
“就職活動を始めだしたころ、篠山市から少し離れたところにあるカラオケ店で篠山市民ミュージカルの応募ポスターを見たんです。私は田舎ならではの古民家に憧れがあったわけでもなく、自然への思い入れがあってきたわけでもなく、市民ミュージカルに参加して出会った素敵な人たちが大好きで篠山市にきたんですよね。”
伝統的な古民家で田舎暮らしを楽しんだり、自然豊かな土地で農業をする。篠山への移住を希望される方の多くが田舎特有のものに関心を持たれますが、三和さんはミュージカルで出会ったたくさんの「人が好き」で篠山への移住を考えることになりました。
移住した後、職も家も失ったとき
ポスターがきっかけで篠山市民ミュージカルに参加し、篠山市の方々とも交流を深めていった三和さん。都会で就職するつもりでしたが、だめもとで篠山市の体験型教育施設の採用試験を受けてみることにしたそうです。
‟もともと教育系の大学に通っていたこともあり、自分に向いている気もしました。運よく合格して施設の人たちと共同生活をしながら何年か働いていたのですが、運営体制の移行もあり、退職せざるを得なくなりました。その時に〝家〞と〝職〞が同時に無くなりました(笑)。地元じゃないので無くなってしまうんですよね!職を失った私にとって篠山の家賃は少し高く、居候したり車で寝泊まりしたり。今では笑い話ですね(笑)”
家と職を失った三和さんでしたが、市民ミュージカルの人々の助けで新たな職に就くことができ、さらにはミュージカルで知り合った方の所有する空き家で、その方の娘さんと同居しているそう。移住してから、たくさんの篠山の人々や住んでいる村の人々と出会う中で三和さんが感じた事とは・・・
コミュニケーションに迷っている人ほど来てみるべき
現在の住居に住みだしたころ、三和さんは村の人とのかかわり方にずっと迷われていたそうです。「よそ者のように見られている」と不安を感じていた三和さん。
‟慣れない土地で、どうやってコミュニケーションをとったらいいか心配で、不安で、怖くて、毎日緊張していました。一度同居人に相談してみると「それはね、村の人たちも、どうかかわっていいかわからないんだよ。」と言われて。そこで“自分から笑顔であいさつすること”を心掛けたんです。ごく基本的なことなんですが、これをきっかけに関係性が一気に変わって、世間話をするようになったり、職場も近くだったのもあって、だんだんと溶け込んでいくことができました。都会では人が多いし、人の出入りも頻繁だからか、密な関係を作るのが私には難しかったんですけど、人と人との繋がりや仲間意識を大切にする田舎ならではの雰囲気が、ちゃんと人と向き合うことを後押ししてくれました。〞
都会の学校では、隣のクラスの子も知らなかったり、あまりにもめまぐるしく変わる毎日に気を遣いすぎて病んでしまう人もあります。「篠山は、市全体がまるで一つの家族みたいで」と嬉しそうに話す三和さんは、移住という一歩を踏み出して人生を大きく変えた様に見えました。
プロフィール
名前:三和 久実花
性別:女性
年齢:30歳
家族:独身、友達と、愛犬かぶまると同居
所属:篠山市役所 社会教育指導員
移住:2010年4月
出身:神戸市垂水区
移住前の居住地:加東市