消滅の危機を聞きUターン
自分が生まれ育ったまちを離れて都会に住んでみたものの、故郷が懐かしくなり返ってくる若者たちもいます。本多紀元さん(26)は、篠山市出身で大学への進学をきっかけに都会に居を移しましたが、大学を卒業し数年間働いてから篠山市に戻って来ました。
“神戸にいてた時に、ネットの記事で篠山市が消滅可能性都市に選ばれてるのを見たんですよ。地域ってそんな感じになってるんだ、って。それで、自分が得意だったITで役に立てるかなと思って篠山市のIT企業を調べたら全然なかったから、返ってきて会社を起こす事にしました。”
都市部に住むようになってから自分のまちを知る。生まれたまちの話は、いい話題も悪い話も意識して聞いてしまうもの。本多さんは生まれ故郷を離れて身につけた力で、まちの役にたつ仕事を作ろうと決意しました。
笑われるのもまちおこし?
故郷に帰りIT企業「いなかの窓」を起業した本多さん。地域のITの仕事を少しづつ請け負いながら、自社BLOGメディア「丹波篠山まめつーしん」に投稿するためにある取り組みを始めたところ、新しい楽しみを見つけたそうです。
“僕コミュニケーション苦手なんですよ、でも人と触れ合いたいなって思って。最初ゆるキャラの着ぐるみに入りたかったんですが、身長高くて入れなくて。それで自分専用のものを作ればいい!と思って。”
篠山市の公認キャラクター「まるいの」に扮した衣装を自作し、とあるマーケットを訪れた本多さん。これで人気者になれると思ったのですが・・
“思いのほか、悲鳴が上がってきたんですよね。若い女の子とかから「きもーい!」って(笑)。その時に、あ、僕が求めてたのはこれだって思って(笑)。笑われる事で地域に楽しみができたりするのも楽しいなって思ったんですよ。”
ITが発達し一人一人がメディアになる事ができる今の時代には、動画やブログを使って自分たちを面白おかしく発信し、それを仕事にしている人たちもいます。悲鳴が上がるくらいのリアクションに本多さんは手応えを感じました。
地域でオンリーワンを目指す
地域にとってかけがえのない会社になる。そんなビジョンを株式会社いなかの窓でかかげる本多さん。「ほそいの」の他にも、色々な自主企画をITでお手伝いしたりと多くの方々から声がかかります。
“都会でTOPになれなくても、田舎にくればTOPになれることもありますよね、そしたら思いの外、やりたいことができるようになりました。東京で頑張ってるけどなかなか芽吹かないなって人がいたら、一生住むという気ではなく、一年・二年だけでも地域で住んでみるのも面白いかもしれないです。”
自分がここにいている意味はあるのだろうか、自分は役に立っているのだろうか。田舎では人が少ないからこそ目立つことができ、誰かに必要とされ役に立っていく。一見とても可笑しく見える本多さんの暮らしには、人と繋がりながら自己肯定感を持って生きて行く、可能性が垣間見えたような気がした。
プロフィール
名前:本多紀元(ほそいの)
性別:男性
年齢:26歳
家族:独身、両親と同居
所属:株式会社いなかの窓 代表取締役
篠山市非公認なまキャラ「ほそいの」
移住:2014年2月
出身:篠山市
移住前の居住地:神戸市