大坂 宇津実さん

農業はじめの一歩5

認定新規就農者

どろんこやさい 大坂 宇津実(おおさか うつみ)さん(26歳)

 

学生時代から丹波篠山の「農業」に関わり、丹波篠山の「人」の魅力に引き込まれました。「農」に魅了されたこの地で、自分の適性を活かせる活動の原点を築くことを目標に、そして自分の成長=地域への貢献につながるように頑張っています!

・現住所
丹波篠山市黒田

・経営品目
黒枝豆、野菜類

・経営面積
2.6ha

・ホームページ
 http://doronkoyasai.com/

 

大学の地域密着型サークル「にしき恋」の立ち上げ

神戸大学農学部に在学中、せっかく農学部に入ったのだから学問としての農学だけでなく、実践体験をやってみたいと思い、7年前に「にしき恋」という名で西紀南地区内の農家のもとでの農作業ボランティアを主活動とするサークルを同級生と立ち上げました。最初は、「農業」ってどんな世界なんだろう?とにかく「食」が好き!そんな単純な興味があって活動に参加しました。毎週活動する中で、農作業は労働というよりもスポーツ感覚で楽しかったし、何より自分が手をかけた野菜を使った昼ごはんは抜群に美味しかった。同級生のみんなと合宿感覚で来ていました。活動中、篠山の農家の方々から、普段都会で生活していると知れない農村ならではの話等、色々なお話を聞かせてもらう時間をとても心地よく感じていました。「丹波篠山って、景色も良いし、ゆっくり時間が過ごせるし、楽しい!なにより人があたたかくて素敵。都会にはない魅力がたくさんある!」というのがサークルを通して感じた農村・篠山の魅力です。

「農業」に対する興味が湧いてきた

農作業をする中で、「この作業はどういう理由で必要なのかな?本当に必要なのか!?」逆に「この作業は何故しないのかな?」など、たくさんの疑問点がありました。色んな作業に対していろんなやり方・考え方があって、それを考えるのが楽しくて、実際自分がやるならこうしてみようかな?なんて作業中ずっと考えながらサークル活動に参加していました。頭で考えて体を動かす。そんな作業が面白く、どんどん農業が楽しくなってきました。「将来、仕事として農業を選ぶのもひとつの道だな」と考えるくらいに農業に魅了されました。農業は場所や人によっていろんな経営形態があると思うので、丹波篠山以外の農業も見てみたいと、大学3回生の夏休みにはドイツに農業インターンに行きました。そこはぶどうの栽培から加工・出荷を自社で行い、さらにはレストランやウエディングパーティー、ケータリング等、六次産業化までを家族経営でしている農場でした。一番の学びは、農業は作ることだけが仕事じゃないんだなということ。驚きとともに農業という仕事の可能性が自分の中で大きく開けて、感動しました。生産したものを自分なりにアレンジして販売することも、生産から加工等といった展開をすることも簡単ではない、でも農業ってそれもできてしまう仕事なんだと実感しました。農業はあらゆる方面に派生できる可能性を秘めていることをドイツで学びました。

「サークル活動」から「仕事」として考え始めた農業生産

大学後半に入ると、研究室に入り、日々研究・論文等追われるように過ごしていました。大学院の夏休みになると就職活動を控え自分の将来を考える時期になり、このまま企業に就職することが当然なのかなと悩みましたが、今まで経験してきたことで自分のやりたいことってなんだろう?と思い返してみると、農業がありました。一念発起し、大学院を辞め丹波篠山に移住してきました。学生の時から篠山にご縁があったとはいえいきなり都会から移住してきた若造であることには変わりなく、本当にできるのか?続くのかなという印象はまわりの皆さんもちろんおありだったと思いますし、当分は「学生さん」と思われていました。そんな中でも地域の皆さんが暖かく応援してくださり、学生時代からお世話になっている方にもお世話になり、こんな未熟な自分に農地や機械をお貸し頂いて農業をスタートすることができました。ドイツで知ったような色んな展開をしていける農業にはじめから憧れはありましたが、そもそも生産物をつくる力もないのに展開もなにもない。まずは生産の部分からしっかり土台を作って経営力をつけたいと考えています。

「農作物」を通じて伝わる「自分の思い」

人は食べ物を食べることで生きています。個人的に、僕は食べることが大好きです。だからこそ食べ物を作るこの仕事がとても好きで、やりがいのある仕事だと感じています。そして作るからには、良いものを作りたい。良いものって何だろうと考えた時、人が健康でいるためには健康に育った野菜が必要なんじゃないかと思い至りました。人と同じく野菜も生き物だから、育つ場所を整えてあげなくちゃ健やかに育つことができない、健康な野菜作りのために必要な土作りや栽培技術の習得に日々取り組んでいます。新しい技術や知識はどんどん更新されていくので、それを自分の農業に活かしていくために欠かさず情報収集・勉強はしていきたいと考えています。

現在は、2.6haの農地をお預かりし、豆、野菜類を作っています。主な作目は丹波黒で、やはりこの丹波篠山という土地にも合っていますし絶大なブランドイメージもあります。既存のブランドの活用や自分なりの生産物の売り方を見出しつつ作付面積・生産量を年々増加させています。生鮮品の販売だけでなく加工品などの展開も少しずつ進めている最中で、農業生産をまず確立させるべく取り組んでいます。

自由な発想の農業経営を目指す

農業生産を基軸として経営を確立しつつ、多分野に農業という仕事を広げていきたいです。野菜を作る・売るだけではなく、生産物を通じて別分野・人とのいろんな関わりしろが農業にはあると思っています。飲食とも、アウトドアとも、ファッションとも、可能性は至る所にあって、そういった展開をできる農業を存分に楽しんでいきたいと思っています。農業や農業以外の事業体・移住者さんとも交流して新しいことを始めるキッカケを作れるような、そんな会社をいずれは作りたいです。いろんな展開の根本に農業生産があると考えで、そういう新しいアクションを起こしていくためにもまずはもっと、生産面を強くしていきます。

今の僕にできるサポートがしたい

僕が移住した時、移住者はまわりにほとんどいませんでした。移住してかれこれ三年半が過ぎて今は一緒に農業に取り組むメンバーがいて、さらには農業以外の分野でも起業している同世代の方々がまわりにたくさんいます。こういうコミュニティが人を繋いで、これからも篠山に移ってくる若者は増えていくと考えています。地元に若者がいない、出て行ってしまうとよく聞きます、だからこそこのコミュニティを大切に広げていきたいです。今の自分にたいそうなことはできないですが、個々のしたいことを実現させるために「仲間」としてサポートし合えたらなと思っています。

そして、せっかく移住してきたんだから地元の方々とのつながりを大切にしていきたいです。僕は地域の方々が大好きだし、そんな地域の中で楽しく活動していきたいと考えています。もちろん起業目的での移住はお金の面で苦労したり、田舎ならではの地域活動の仕方などはじめわからなくて難しいことも多いと思いますが、コミュニティの中でいろんな面でお互いサポートし合えたらなと思います。そしてこの丹波篠山で、地元に馴染みながらみんなで楽しんで活動していけたらと強く願っています。

 

「丹波篠山は最高です。将来、子育てするにあたっては、こどもにいろんな世代の人と関わって欲しいと思っているので、この地域で子育てすることが理想的だと思っています!」と語ってくださった大坂さん。Iターンの若者だからこそ感じ取れる「丹波篠山の魅力」を存分に発信し続けて下さい。

(2020年2月)