・民間企業・養護学校での体験を活かした利用者目線の想いが溢れる施設
航空会社に14年間勤務した後、娘、瑞穂の病気を機に丹波篠山に帰ってきて早いもので26年が経ちます。前職と関連がある職種は何かな?というこうとで、平成4年にみずほトラベルという旅行会社を起業し2年前まで25年間旅行業を営みました。障害福祉の仕事をすることはその時は考えていませんでした。
平成13年頃、篠山養護学校高等部の生徒たちと北海道への修学旅行に同行する仕事をいただいたり、PTA会長時代にお母さん方の思いにふれたりしたこの頃から、娘のことだけではなく、様々な障害をもつ生徒たちの、養護学校在籍年数よりはるかに長くなるであろう「地域での暮らし」にスポットをあて、地域での福祉資源を増やし、市民の皆さんに障害者に対する理解を深めていきたいと考えるようになりました。養護学校の先生から、民間企業の経験を生かした、子どもや家族の思いの溢れる通所施設を作ってほしいと依頼されたのもちょうどその頃です。やる以上は、地域の皆さんに、より障害者への理解を深め、関わってもらえるような施設を作りたいと思い、市民参加型の障害者通所施設「いぬいふくし村」を篠山市乾新町に設立し今年で15周年を迎えます。
※株式会社みずほ 山中信彦様
・社会性を身につけ、地域社会と触れ合える障害者短期入所施設
障害者の地域での暮らしを支えていくためには、短期入所(ショートステイ)やグループホーム等の夜間施設の充実も大切と考えるようになり、平成27年3月、障害者短期入所施設を開設しました。天国に旅立った娘の名前をとって「みずほの家」と名付けました。
ショートステイは、障害者が月に1~3回程度泊りに来ていただく施設です。利用者がお泊りされている間に、社会性を身につけてもらったり、お友だちを見つけてもらう一方、介護をされているご家族の方にリフレッシュしていただきたいという思いで3年間運営してきました。そうしているうちに、ご家族の方から「町の中心地から少し離れた大きな施設ではなくて、町の中で、小規模サイズの施設で暮らすところがほしいよね。」という声があがってきました。確かに福祉の仕事をしていて痛感するのは、需要と供給が合っていないんですよ。
20年ほど前からグループホームという制度は存在していたのですが、全体的な数が足りていません、ですので少しでも増やさなければいけないのではないかと強く思うようになり、昨年12月に、ショートステイの隣地に「グループホームななつ星」を開設しました。定員は6名、入居された障害者の皆さんが地域の一員として近隣の人たちと普通の関わりと保ちたいと考えています。地域の皆さんに支えられるだけでなく、グループホームが地域の皆さん(特にご高齢者)を支える役割を果たせるといいですね。お互いに支えあっていけるような社会の実現を「ななつ星」を拠点に展開していきたいと考えています。
・立地を活かした地域と共生出来る施設づくり
篠山市は、高齢者10人に1人が一人住まいです。身体の不自由な高齢者、女性の一人暮らしが多いですね。そんな課題がある中、高齢者と障害者の共生ができないかと考えています。高齢者福祉と障害者福祉、制度的には異なりますが、「ななつ星」の空間の中で、互いに楽しく交流できればうれしいです。通常のグループホームよりリビングルームを広くとっています。先日もご近所の方にお越しいただいて、昔懐かしい手遊びなどをして楽しみました。そうしたら両者の歩調が合うんですよ。互いにゆったりしていますからね。どうしても、障害者施設の仕事で思い浮かべるのは、専門的でしんどい介護の仕事。“そんなんできひん”と思われる方が多いと思います。実際娘の時もそうでしたが、重度障害で寝たきりなので抱き方もわからない。逆に迷惑を掛けてしまうことになるかもしれない。そんな声をよく聞きました。確かにそういう一面はありますが、障害福祉の仕事には直接の介護以外にも重要な役割があります。傾聴、見守り、料理、外出支援、余暇支援など。特に余暇支援の分野では私は皆さんに「ご自身の今までの経験、趣味、特技を生かした支援が障害者にとても喜ばれますよ、心あれば誰でもできます」とお伝えしています。
※代表取締役社長 山中信人様
・兄弟の成長を見守っているような幸せな仕事
大学に入学から社会人生活まで市外での生活に主になり、篠山市には年数回くらいしか帰れませんでした。そしていつも心の片隅には、妹(みずほ)に兄らしいことをしてあげられていなかったという想いがずっとありました。そんな時に父からグループホームの話が出て、妹が与えてくれた良い機会なのかなと考え篠山に帰ってきてお世話になった地域の為に働きたいなと思う現在に至ります。まだ働きかけて2ケ月くらいなのですが、毎日めちゃめちゃ楽しいです。グループホームも楽しいですし、短期入所(ショートスティ)も日ごとにメンバーが変わって、どんどん仲間が増えていく。利用者さんも、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言ってくれる。僕にしたら兄弟が増えているという感じですね。利用者さんの笑顔が間近で見られる、ゆっくりですが、日々成長されている姿を近くで見させてもらっているということが幸せで、仕事をしているというよりも大家族で毎日楽しく過ごしている様な雰囲気で仕事させていただいています。
※専務取締役 山中祥平様
・お世話になった篠山に恩返し この町で花咲かせたい
兄と両親と同じですが、妹、瑞穂の存在が大きかったですね。妹に小さいことから寄り添ってきました。その妹が二十歳を超えて生きてこられたのはこの町のおかげ。篠山の温かい雰囲気、福祉なども充実してきています。他の地域で花を咲かせるより帰ってきて地元の仲間と一緒にやりたいと思いました。もともと篠山が好きなので。 もちろん、親の温かさも見てきているので一緒にできたらなというところもありました。 今後はショートスティ、グループホームをひとつでも増やして利用者さんを一人でも多く受け入れたらなと思います。近隣にはショートスティ施設が無い市町もありますので、ご縁があればさせていただきたいと考えています。
・隙間の時間に得意なことを発揮する働き方
現在スタッフは総勢20名です。介護、調理、清掃、送迎、外出支援、余暇支援、夜勤と内容も多岐にわたっています。常勤は5名だけで、あとは全員パートさんです。多くのパートさんは、他業種と兼務されていて、週に1~2回空いた時間に来てもらっています。6時半から8時半まで朝食作りに従事して9時からは別のお仕事に就かれるなどスポット、スポットで自分の希望する時間に働くことも可能ですし、自身の得意な分野を活かせる職場でもると思います。料理が得意な方は厨房、お話をしたり聴いたりするのが好きな方は余暇支援、利用者さんに編み物を教えに来ていただいたりもしています。ご自身の得意なことを発揮しに来ていただくことだけでも大丈夫です。
・あたたかい雰囲気で過ごす アットホームな職場環境
篠山市だけではないですが障害者施設はどこも働き手が不足しています。篠山市の施設を代表して言っています! ドロドロした環境ではなくとてもピュアな世界ですよ! 職員がストレスを抱えていたり、バタバタしていると利用者さんにすぐ伝わってしまいます。利用者さんの家族にはなれないけれど、家族のように思い接することはできるので、そういうところを大切にして温かくゆったりとした職場環境づくりを目指しています。障害者に対しての技量よりは気持ちが大切です。知識、技量はだんだんと備わってきますので、「障害のある人もないひとも皆んな同じ」というように接することのできる方なら誰でも務まると思います。 いつでも見学に来てくださいね。お待ちしています。