農業はじめの一歩21

農業はじめの一歩21

CamatoQuwa(カマトクワ)  山田 誠二(やまだ せいじ)さん

現住所:〒669-2714 兵庫県丹波篠山市垣屋81

経営品目:唐辛子・黒枝豆・さつまいも他

経営面積:60a

H Phttps://www.camatoquwa.com/

Instagramhttps://www.instagram.com/camatoquwa_farm/?hl=ja

 

〜農業を通じて、「自分が成長していくこと」を目指して〜

—— サラリーマンから農業の道に入られた山田さん。4年目に新規就農者の認定を受け、現在は有機農業と収穫した唐辛子を使った加工食品を手がけておられます。様々な出来事や大きな決断に迫られることが待ち受けていましたが「家族の支え」で乗り越え、今後の夢も膨らんでいらっしゃいます。——

 

 

 

 

「就農への決断」

大阪でサラリーマンをしていましたが、農業の道へ進もうと丹波篠山市へ移住してきました。大規模農家さんに就職し、畑を借りて自分でも少しずつですが無農薬・化学肥料不使用・除草剤不使用で農業を始めました。順調なスタートを切れた方だと思いますが、独立した途端に厳しい現実が待っていました。体を使い、畑を耕して種を植え、有機野菜を作れば売れると思っていましたし、設備投資にこんなにお金がかかることすら知りませんでした。正直、農業を舐めていたところがあったんです。できた野菜を移動販売や青空市に持って行っても、たくさんの野菜が売れ残り廃棄することもありました。苦労して作った野菜を廃棄するのは、本当に悔しかったです。そこでロスを少しでも少なくするために加工して販売できないかと考え始めました。

 

「唐辛子を栽培し一味へ加工」

私の圃場でも山側は特に鹿の獣害が多く、今年も植えたばかりの黒豆の新芽を食べられることがありました。しかし、唐辛子は獣害もなく、条件の悪い圃場でも生育できます。これを一味唐辛子に加工して販売しようと考え、今では3種類の一味唐辛子を販売しています。賞味期限も長いのでお土産屋さんなどで、取り扱っていただく店舗も徐々に多くなってきました。今では、うちの看板商品の一つです。今後もガーリックやハーブ、パセリなどを使った商品を増やしていこうと計画中です。

 

 

 

 

「新規就農者の認定を受けて」

新規就農者の認定に向けての経営計画づくりでは悩みました。大規模農家さんのもとで、栽培の技術は教えていただいていましたが、ビニールハウスや加工設備にいくらかかるのかなどを一から計画を立てることは非常に難しかったです。「新規就農者」の認定を受けた時は、本当に嬉しかったです。やっとこれで自分がやっていることが認められたんだなと思いました。ただ、私1人の力だけで受けられた訳ではありません。家族のサポート無くしてはできなかったと思います。最初は日焼けや土まみれになることに抵抗はあったと思いますが妻も一生懸命畑仕事や加工作業をサポートしてくれます。子ども達も時間があれば、作業を手伝ってくれたりしています。本当なら、遊びに行きたい年頃ですが、農業が忙しいからと我慢させてしまっていることを辛く感じることも多々あります。そういった中での認定は私にとっても大きな意味を持ち、これからの農業に対する思いも、ただただ前進して行こうと励みになりました。

「担い手としての役割を果たしたい」

今の耕作面積では、安定した黒豆や他の野菜の収穫には至りません。自分の農業への姿勢を周囲の皆さんに理解していただきながら田畑を任せてもらえるよう地域の担い手となれるよう頑張っています。耕作面積をもっと広げていき、加工食品の販路も拡充させていければ、次は若者の就農支援ができるようになりたいです。私と同じように都市部から就農を考えておられる方は、たくさんいらっしゃると思います。そういう方の受け皿になれるのが「CamatoQuwa(カマトクワ)」であればいいなと思います。受け入れていける体制を作り、経験値のない方でも就農者として頑張っていけるお手伝いがしたいです。まだまだ先になるかもしれませんが、私の経験や苦労を知ってもらいながら、同じ道を歩もうとする皆さんの応援がしたいです。それも担い手の役割としての一つだと考えています。

 

 

 

 

「今までにない価値観を得られたこと」

今までは、自分自身で何でもやらないと気がすまない性分でしたが、農業に携わるようになってその考え方も大きく変わりました。経過に口出しして、お互い嫌な雰囲気になることも多かったですが、やっと最近になって学習し()妻や家族に任せるところは任せています。

農業を始めてからは、サラリーマンの時以上に「家族」のありがたさと大切さを日々感じます。丹波篠山市に移住してきてから、人との繋がり方にも大きな変化がありました。何気なく見守って下さったり、買い支えてくださったり、「人の温かみ」も今までになく心に沁みます。丹波篠山市に来てから変化した価値観が糧となって、次のステップに進もうと突き動かしてくれています。そのためにも、自分自身がもっと成長していかなければと常に意識しています。

 

 

 

 

—— 今後は、有機J A S認定での栽培や加工を目指しておられる山田さん。農業での生活を安定させることにより、家族も周囲の皆さんもハッピーになれるような仕組みを模索中とのこと。真摯に農業の担い手として向き合っておられる姿に、理想を現実のものとされる日が必ず来ると信じて止みません。——

 

2023年1020