医療法人社団紀洋会 ぽっぽ保育園 千賀 昌代さん
・地域に根ざしたより良い医療と介護
医療法人社団紀洋会は、兵庫県篠山市を拠点として多様な診療科と部門からなる「岡本病院」と複数の「介護施設」の2つの柱で地域の医療を支える企業です。
医療や介護の現場と言えば女性が活躍する職種の代表みたいな感じがします、
女性が仕事に専念できる環境はどのように創られていったのでしょうか。
・選ぶ企業から選ばれる企業へ
平成6年当時の「岡本病院」は病床数126床で診療科は6診療科、職員数は70名程度でした。介護分野も特養中心で行政主導の措置入所制度の時代でした。
都会で働くことにステータスを感じる時代で、地元には医療従事者が極めて少なく、特に正看護師よりも准看護師の方が多い時代で、優秀な人材の確保、それどころか人材そのものを確保することが難しく、また世間的に結婚や妊娠をすれば退職というような意識のある時代でもあったので、ある意味で本当に大変な時代でした。
そこから「人材の確保」と「女性に長く安心して勤めていただく為にはどうしたら良いのか」を模索していきました。
そして24時間保育をして職員が安心して仕事が出来る環境を作ることそして女性の出産・育児という大きなイベントにおいて、しっかりと支援することが安定した医療の提供に結びついていき地域医療への貢献ができる。独自の開設へと考えがまとまっていきました。
当時の経営状況から見て企業としての経済的な負担は決して小さなものではありませんでしたし、運営経験もなかったのですが
“当時の理事長の職員を大切にしないといけない“の思いを形にするように
「平成6年7月1日にぽっぽ保育園が開園されました。」
・会社は大きな家族!それを支えるぽっぽ保育園
“ぽっぽ保育園開園当時から努めている千賀さんのインタビュー“
私が保育士を目指したのは、憧れていた職業だったからです。短大で資格を取得しましたが、当時の保育士は就職難で、他の職業に就く人も多かったです。なので、今現在も資格を活かして働けることは本当に良かったなと思っています。
・勤続24年のキャリア
篠山出身ではなく、縁があり引っ越ししてきました。できればしっかり働きたいと思っていましたので、ぽっぽ保育園の募集を知り資格を活かして働きたく、就職しました。元々公立の保育園で働いていましたので、夜勤など初めての経験でしたが、これまで以上に学ぶことが多くすべてが新鮮でした。
今年で働いて24年になります。篠山に住み半年後には、ぽっぽ保育園で働き始めたので、ぽっぽ保育園は私の生活の一部であり、友人や同僚、たくさんの方に出逢いました。
・保育士の仕事
今は15名ほどのお子さんを預かり毎日楽しく仕事をしています。ぽっぽ保育園で働き、本当に多くのお子さんを見送ってきました。時々、卒園児の保護者の方に会うと写真を見せて頂いたり、成長されたお話を聞いたり、懐かしく嬉しい気持ちになります。
嬉しいこと、時に辛いこともありましたが、やはり私は保育士という仕事が好きなんですね。
・女性が安心して働ける環境とは
今までの経験から私が大切にし、重要に思っていることは、保護者の方とのコミュニケーションです。例えば、お子さんの普段の様子や、好きなもの、好きな事など何気ないことでも知ることでより良い保育をすることに繋がるのではないでしょうか。
保育園での様子、保育園以外での様子、伝え合う事の大切さを常に感じています。登園や降園時に話をして(時に長くなりますが)信頼関係を築いていくことを大切にしています。
・24時間365日の保育実践!!
現在はスタッフ(保育士)5名で頑張っています。
そして紀洋会で働く全職種のお子さんが対象であることがこの施設の特徴です。正社員、パートに差はありません。
常時通うお子さんの保育以外に夜勤保育、学童保育、他園に通うお子さんの午後保育などに応じて職員がうまく働けるようシフトを調整しています。また、台風などの不測の事態で突然 休園休校になった場合でも保育ができるよう迅速に対応しています。アレルギーを持つお子さんの食事や病気の対応等にもきめ細かに対応しています。
その他にも登録園児制度があり、ぽっぽ保育園を卒園されたお子さんも保護者の勤務に合わせて急遽、保育園の利用ができるようにフォローもしています。
・ぽっぽの一日
基本的に保護者が仕事に行く日が登園日です。
日中の時間は戸外遊び、室内遊びで元気に過ごし、年齢、人数により保育内容も変わります。雨天でも施設が広いのでのびのびと過ごせます。また晴れた日には四季の森公園にお散歩に行くこともあり、自然環境にも恵まれています。
・苦労とやりがい
ぽっぽ保育園は4月入園に限らず途中入園されるお子さんも多いため、常にその対応に追われますが、最初は泣いていたお子さんが慣れてきてお友達と遊ぶ姿を見ると嬉しく思います。
最近はテーマを決めてスタッフ各自で意見を出し合い、より良い保育に活かせるような話し合いをしています。例えば、子供たちが日々使うもの安全性についてや、保育室の片付け、使いやすい配置などです。自主性を尊重し個性を伸ばす遊びや、季節の行事についても新しいアイデアを取り入れています。
・今後の展望
毎年4月になると公立の保育園・幼稚園や小学校に進級されて、ぽっぽ保育園を卒園するお子さんもいれば、登録園児として公立に通いながら引き続き利用される方もいます。土日の利用や夜勤保育、休園休校時の際の利用です。
ぽっぽ保育園だからできること、他にない魅力あるところをこれからもどんどん利用してほしいと思います。
24年も経つと、ぽっぽ保育園を卒園されたお子さんが大人になって、紀洋会で働いておられる方や、看護師を目指して勉強を始めたお子さんたちもいます。それは、思ってもいなかった事で、将来もっと広がっていくのかなと考えれば私たち保育士も(そのことに)関わる事が出来たのだと嬉しく思い、誇りに思うのです。
そして私自身が介護をする年代になりました。
院内保育園で長く働いて、病院の同僚や同期、預かるお子さんの保護者の方はさまざまな資格を持って働いている方がおられるので、専門知識や色々な話を聞くことができます。職員の年代もさまざまでお子さんを預けて働くお母さんもいれば、私のように介護をしながら働く職員もいるのではないでしょうか。
それぞれのライフステージで家庭と仕事の両立ができるから、長く勤めることができる。それが紀洋会だと思うのです。
篠山と言えば都市部から見れば田舎のイメージはあるかもしれませんが通勤圏内にあり住みやすく働きやすく不便なことは感じません。
大阪までも1時間で行けますし、子育てしたり、働いたりするにはとても良い環境だと思います。それに人々がとてもあたたかく支え合うやさしさが篠山市にはあるように思います。近くに相談できる友人や同級生、家族がいる。この環境の素晴らしさに気づくことができると思います。
当時の理事長が女性に長く勤めていただくにはどうするべきか考えた
結果の先にぽっぽ保育園が開設され、紀洋会を支え続けています。
現代は開園当時よりも働く女性が多くなり、働きやすい時代になりました。
このような企業が増えることが地域活性になり人口流出の減少につながるのではないかと思います。
ぜひ皆さん紀洋会で一緒に働きましょう。
2018年11月投稿