農業はじめの一歩22

農業はじめの一歩22

ONE BEANS(ワン ビーンズ)    村上 玄一(むらかみ げんいち)さん

現住所:〒669-2462 兵庫県丹波篠山市真南条上1576

経営品目:黒大豆・米

経営面積:4ha

Instagramhttps://www.instagram.com/one_beans/?hl=ja

HPhttps://www.tambasasayama-mananjyo.com/

 

〜「農業ベンチャー」と言われるようにがむしゃらに走る!〜

 

—— 移住前には農業ボランティアとして、移住後には日々地域の皆さんと農作業を行なって技量をつけられ、2年目で新規就農者の認定を受けられた村上さん。地域の農業を守っていくこと、次世代に引き継げる農業を目指して奮闘中です。——

 

 

 

 

「いきなりの移住への転換」

以前は神戸で会社経営をし、営業職をしていました。妻と世界一周旅行をしようと計画し、そこで好きなことを見つけて田舎暮らしができればと考えていたのですが、コロナ禍に突入しました。移住は計画が逆転したみたいな感じです。妻が農業ボランティアで丹波篠山市の真南条にお世話になっていたので、私も訪れ「こんな中で暮らしてみたい」と思い、物件も即購入して移住してきました。また、妻が「地域おこし協力隊」になったことがきっかけで、農作業を手伝う機会が増え、地域の皆さんと接する機会が多くなりました。神戸にいた頃には、何気なく食べていた農産物が、地域の高齢の皆さんとの会話の中で、皆さんのご苦労があって作られている現実を知り、5年後10年後に、あたりまえに食べている物が食べられなくなるのではという危機感を感じました。じゃあ私がやってみようと思い、スタートしました。

 

「地域の皆さんのおかげで今の自分がある」

新規就農の認定には、地域の皆さんに本当にお世話になりました。立ち話でもおじいちゃん達との会話はめちゃくちゃ勉強になるんですよ。「知ること」って本当に大事で、村のルールや地域の思い、色々なことを教えていただきました。そのおかげで水利のことや溝掃除の次の日に何をするとか、細かいことなんですけど農業には非常に重要なことで、本当にこの地域の皆さんのおかげで「新規就農者の認定」を受けることができたと思っています。

私自身も、農業をするにあたって、自身の営利目的だけでなく、今後の「地域の農地」と「食」をいかに守っていくか、地域の皆さんの思いと真摯に向き合っていこうと思います。

 

 

 

 

「チャレンジを見出した発酵食品」

地域の中には昔「菊正宗で酒造りをしていた」「大関で杜氏をしていた」というすごい人たちがいらっしゃいます。そんな方々の知恵を授かって、自分の作ったお米で麹を作っています。阪神間に出かけるときは、オーガニックストアで取り扱ってくれそうなところにサンプルを持参して、前職で培った営業能力を駆使して扱っていただける小売店様を開拓していす。製造の兼ね合いもあるので、小ロットで取引できるお店を中心に販売させていただいています。製造前に販路を確定させることは非常に大切です。

丹波篠山市は「どぶろく特区」に指定されているので、来年はどぶろく作りにもチャレンジします。

「伝統」を守ることも大切ですが、「伝統」にチャレンジする機会を与えていただいたことも、地域の方々との繋がりのおかげです。

 

「幸せな食卓」

基本美味しいものを食べることが大好きです。先日、食卓の上が自分の作ったもの、〜さんが作った野菜、〜さんのところの鶏肉と知り合いの皆さんの食材で埋め尽くされていることに気づきました。美味しさもそうですが、皆さんの努力された姿がバックボーンに見えて、この上ない幸せを感じました。

生まれてきた我が子が、自分の作ったお米や黒豆を食べて、すごい笑顔になるんです。嬉しすぎて涙が出ました。農業という仕事、そして横のつながり、人との関わりから色々なものを得られている喜びで一番の幸せを感じる瞬間です。

 

 

 

 

「次世代に引き継げる明るい展望」

現在の農業の考え方では、かなり難しい課題が山のように残されています。それは今まで将来を見据えた考え方がされてこなかったことも大きな要因だと考えます。日本の経済が変動しても物の価値が変わらないよう努力することで、農業の未来はマジで明るいと思っています。1人でできることは限られますが、共感できる仲間を増やし、協力できるところは協力し合って、村の農業を守っていきたいです。阪神間からもたくさんの人が研修に来たいと言ってくれています。原点回帰ではないですが、そういう風に回していくことで受け継がれていくことが可能です。共同出荷したり、みんなで頑張っていくこと、何より楽しんで向き合っていける農業に魅力と可能性を実感しています。

 

 

 

 

—— 営業で回られる阪神間の方々に「えっ!自分農業やってるの!?」と驚かれることが多いとお話になる村上さん。その雰囲気は周囲を明るくし、目指すは「クレイジーでロックな農業」だそうです。今までにない生業としての農業を切り開いていかれる姿勢に沢山の推し活メンバーが集結されています。——

 

2023年1119