中岡聖さん

農業はじめの一歩4

認定新規就農者(現在は、認定期間終了)

SATORU FARM 中岡 聖(なかおか さとる)さん(38歳)

 

スーパーで見かけた野菜を見て、農業がやってみたい!と飛び込んだ丹波篠山。大規模農家さんで積んだ経験を軸に、自分らしい農業を実践中です。地域のお世話になった皆さんに恩返しができるよう、新しい取り組みを楽しく実現するために頑張っています!

・現住所
丹波篠山市下筱見

・経営品目
水稲、黒枝豆、黒豆、野菜

・経営面積
水稲1.6ha、黒枝豆・黒大豆40a、野菜20a

 

小さな疑問から、「農業と移住」へ

大阪の摂津市に住んで老人介護の仕事に励んでいた頃、スーパーに並んでいた野菜を見て、「普段食べているお米や野菜がどうしたらここまで育つのだろうか、知らないまま過ごしていていいのかな?」とふと疑問に思い、そこから「農業のできる移住先」を探し始めました。自身も嫁も資格を有しているので、どこでも食べていけるという自信はありましたし、子育ての環境としても田舎暮らしが理想であると家族も賛成してくれました。神戸の臨時移住相談会で偶然座った当時の篠山市のブースで相談員さんと話が盛り上がり、「丹波篠山、おもろいやん!」と移住先に決め、筱見の土地に出会って家を建てました。生活に至便よりも、農業ができる場所を求めて決めました。しかし、全くの農業未経験者です。先ずは、農業を勉強することから始めなくてはと、ハローワークで「丹波たぶち農場」を紹介してもらい、トントン拍子に話が進んで怖いくらいでした。

こんなに「キツい」仕事とは…そこから得られた感動!

6月の忙しい時期から勤め、何もわからないまま言われたとおりに動く毎日が続きました。暑い中での作業中、持参した飲み物も全て飲み干してしまい、田んぼの水が「美味しいコーヒー牛乳」に見えて飲もうとして止められたことは、今でも覚えています。それぐらいキツかった。それまでは、冷暖房完備の中で仕事をしていましたから、外の仕事がこんなにハードだとは想像していなかったです。スポーツ根性もあって、辞めたらあかん!と思って頑張りました。丹波たぶち農場さんでは常勤で3年お世話になりました。丹波篠山の農家さんのやり方を1から教えてもらい、就農経験の最初が丹波たぶち農場さんで本当に良かったと思っています。働いているうちから、自分の田んぼも少しずつ手掛けて、就農への思いは変わることなく準備していました。初めて自分の田んぼで収穫した時は、嬉しすぎて、めっちゃ泣きました。ホンマに感動した、その気持ちは忘れてはいけないと思っています。今は筱見のやり方も取り入れ、自分なりのアレンジを加えた中岡流の農業を実践しています。

僕は、「地域密着型フワッとタイプ」就農です!

仕事として「やらされた感」がなく、自分の好きなことを自由にマイペースに取り組んでいけますから、とにかく農作業が楽しいです。何かにつまづいても「なるようにしかならないから」と思って受け入れ、次の手立てを考えていきます。ガチガチに考えないで大まかにフワッと前に進めばいい、おおらかな気持ちで農業ができるのは地域の皆さんのおかげです。最初は農地をはじめ、トラクター等何から何まで貸してもらいました。恵まれた環境で農業させてもらっています。一人でできる作業ばかりではありません。みんなで協力しあって、助け合いながら美味しいものを作る経験ができるのが農業だと実感しています。しかし現実、就農だけで家族を養っていくことはできていません。僕は、農業とは別に、猿の監視員と狩猟をして生計を立てています。狩猟の資格もこちらに来てから取りました。地域に役立つ仕事としても重要であると考えたからです。獣害柵の点検はされていますが、実際破られているところがあります。僕たちのような若手も巻き込んで、点検していければ改善されるところは多くあります。今年は隣接した地区も回ってみようと思っています。何事も一緒にすれば良いんですよ。

また、年に数回市内の若手農家同士で親睦会を開き、意見交換をして刺激を受けています。僕は、減農薬減化学肥料で農業しています。一方では農薬不使用で取り組まれているメンバーもいて、お互いの農法を認め合っています。市内の他地域の農家同士の結束を強めれば、丹波篠山の農業の活性化に結びつけられると確信しています。

地元の皆さんを崇拝しています!

丹波篠山に魅力ある農作物ができるのは、長い年月をかけて、この風土や農地を守ってこられた地元の皆さんのご努力があるからこそです。そのおかげで、僕たちが農業に取り組めるのです。「田んぼは、村で守っていかなければいけない」という地元の皆さんの思いにとても共感しています。だから、もっとその思いを形にしていけるお手伝いがしたいです。農業が生業として食べていける仕組みづくりを筱見発信で、他の地域に注目されるような感じでできれば最高ですね。同時に、村に収益が入るようなシステムを作りたいです。この地に還流人口を増やして、興味を持っていただくイベントで美味しい野菜とお酒もあれば〜僕も盛り上がる!とか(笑)。突拍子もないことを考えるのが好きなんです。実現に向けては、期限とか年数とか決めないで進んでいければいいと思っています。地域の人達の意見を聞いて、無理のない計画を立て、地域として取り組むために必要な進め方です。一人ではできないので、みんなを巻き込んでいつかできたらいいなとワクワクしています。

丹波篠山で農業するなら、地域に溶け込む努力を!

丹波篠山で就農移住をされたら先ずは、挨拶をして下さい! 知らない人でも、挨拶して下さい。地域の皆さんは、どんな方が来られたのかと気にされているだけなのです。僕も、移住してきた当初は、村の中を通る車に頭を下げ、お出会いする方には声をかけて、自分の存在を知っていただくところから始めました。半年も経つと、知らない車が止まっていたら気をつけてくれるし、子育ての面ではめちゃめちゃいいです。本当にお世話になっています。「監視されている」と感じるか、「見守られている」と感じるか、本人の主観で受け取り方が変わります。

自分の思いや考え方を100として、その100全てを相手に理解してもらう事なんか無理です。やりたいことを実現させるためには、長いスパンで計画していかないとできないのが農業であり、地域に溶け込める移住です。一人では、何もできません。村の人の意見を聞いて、まず地域の考えを理解し、信頼関係が築けた上で、自分のやりたいことを伝えていかないとやりたいことを実現できないのです。徐々に理想に近づけていこうと考えられる人でないと、田舎で農業して暮らすのは無理です。仲良くできることが、気持ちよく自分のやりたいことに邁進できる鍵です。田舎暮らしは都会の生活より人付き合いの面で、全く違うと意識して欲しいです。お互いの理解の上に成り立つ人間関係が必要です。そして、僕自身が、村の皆さんにお世話になって嬉しかったことを、新規就農される皆さんにしていきたいですね。一緒に楽しく前進していきましょう。

狩猟もされている中岡さんですが、実は動物アレルギーをお持ちだそうで…始めは猟犬にも近寄れなかったそうです。もう一つの夢は、大阪時代のお友達との飲み会に「特急コウノトリ」を利用して駆けつけることだそうです(笑)移住されて6〜7年。その中で色々なご苦労があったと思いますが、笑顔で「楽しい!」を連呼される姿に、丹波篠山で育った人に負けないくらいの「丹波篠山愛」と「地元愛」を感じました。

 

(2020年2月)