フタバカフェ オーナー 西田 博一

フタバカフェ オーナー  西田 博一

・篠山市でUターン起業のヒント!

以前、私は関東でIT関連企業で事務や管理、代理店用のヘルプデスクの運用の仕事をしていました。会社自体に全く不満はありませんでしたが私は長男で、子供の時から「長男は家を継ぐものだ」という風潮がありましたが、当時はあまり深く考えていませんでした。しかし、祖父が亡くなった事がきっかけで、このまま定年まで働いてから地元に戻るのかということを考えるようになり、家族が守ってきた農地が心配だったので、出来るだけ体力のある若いうちに篠山に戻り、やりたい仕事をしながら家業を守りたい、など出身地の事をじっくり考えるようになり、約15年前、地元である篠山市に関東からUターンで帰ってきました。

・ フタバ型農業のスタート

地元を意識した最初の段階では、篠山に帰って何か仕事を探して兼業農家として生活していくというイメージを持っていました。ですが、今までサラリーマンで培ってきたノウハウやスキルを活かし、地元だからこそできる面白いことをやってみたいと思っていました。それを東京にいる時から早い段階で計画していて、篠山市に戻ってから約1年ほどで「フタバカフェ」を開業しました。サラリーマンと農業で兼業するのか?もしくは農業一本で何かできないのか?と色々考えたのですが、農業一本では実家の土地の面積などの部分で生計を立てるのは難しいと判断しました。大きな施設や設備にもコストがかかってしまいますので。ですから、農業+カフェの2つを事業の軸とする事で、自分たちで作ったお米や野菜、ブルーベリーなどをカフェで提供しながら、店をアンテナショップであり、野菜の直売所にするという形にしようと考えました。自分の周りですべて完結できるようにし、地方で自分の満足のいく新しい働き方を起業という形で見つける事ができました。

 ・カフェ・農業以外にも猟師として活動をスタートするマルチな経営者

篠山市は冬期の農業の仕事があまり多くありません。篠山市は冬の寒さが厳しく、路地栽培では限られた作物しか育たないためです。篠山の農業は、昔から特産物の丹波黒豆とお米を軸にしていますので、冬に作物を栽培するということがあまりありません。冬場の空いた時間に、ブルーベリーの剪定や、細かな農作業するのですがそれ以外にも時間がありました。そこで、何か時間を有効に使う事ができないか?と考え、目に入ったのが地域の課題でもある、鹿・猪などの獣害問題でした。獣害を減らそうという考えから猟師を始めて、自身で食す事があり、その美味しさに気づき、新鮮な状態で皆さんに提供するにはどうすればよいか?お店で販売できないか?というところから食肉処理と解体の勉強をし、必要な資格を取り、食肉として販売出来る状態にしました。現在では、個人のお客様でジビエに興味のある方に個々に販売したり、都市部の飲食店などに卸しています。

・ 都会でのキャリアを田舎で活かす

サラリーマン経験をさせてもらった事はすごく大きな財産になっています。コストを意識しながら仕事をしたりと経営の基礎を学びました。現在多くの企業がそうだと思いますが、資金を潤沢に持っているわけではなく、出来るだけ節約しながら知恵や経験でカバーし、様々な方法で運営されていると思うので、その部分は地方で別の業種の仕事に就いたり、起業したとしても経験が活かせる部分は多いと思いますね。私の場合は起業したわけですが、安定した会社に勤めながら、今後やりたいことを計画し、資金を貯められるという期間があるのはすごく良いことだと思いますし、経験を活かして力試しができるという利点もあります。今では都会に一度出て良かったと本当に思っています。

・地方で起業という考え方

なかなか一言で「篠山はすごいいいよ!おいでよ!」とは言い切れない部分はあります(笑)都会に比べてお客様の数、総人口の違いはありますので、田舎で事業をするのは大変だなと思うこともありました。なので「すごいいいよ!おいでよ!」と勧めるわけではないんですけど・・・。私自身はUターンで地元に元々基盤がありましたので、開業するにあたり良かった点がありました。仮に僕がIターンで基盤が無ければ今の事業は上手くいかなかっただろうなと思います。いきなり飛び込むよりは、「ある程度基盤がある」とか、「友人がいる」とか、自身が向かう地方がどんな地域なのか深く知ることが大切だと思いますね。篠山市は都市部とも近く、祭りやイベントが多く集客力があります。観光地としても有名で、田舎としてはかなり恵まれていると思います。前職では転勤が多かったので様々な土地へ行きましたが、そのなかでも篠山は地方の良さを感じる魅力的な土地だと思います。

 

・地方にある可能性と資源 フタバ型農業の見据える未来

今後も農業を軸に生涯やっていきたいと思っていて、それは変わらないと思います。飲食業の分野に関しては、将来的に今の人的資源を活用して、高齢化が進む中、自身で買い物に行くのが困難な高齢者の方へお弁当を配達し、生活を支えていけるような仕組み作りを考えています。その時代に応じてやり方が変化していく中で、いつまでも飲食店と農業の二本立てではなく、農業を軸にして、多角的に時代に合った事業を柔軟にしていきたいと思っています。
今ちょうど興味のある分野は「里山資源」ですね、山里にはすごく魅力的な資源があるのにも関わらず、誰も見向きもしないというか・・・。それってすごくもったいないと思っています。例えば柿一つにしても昔から代々育てられてきましたが、今では猿が柿を取り害になるから切り倒したり、過去にどんどん植林されて間伐ができないから地盤が緩んだり道がふさがれたり大変な面があります。
例えばそれを間伐して、薪にして都会で薪ストーブを使っているような方に販売したり。柿にしても乾燥させ、ドライフルーツやドッグフードなどにしたりと活用を考えればきりがありません。そんな中で柔軟に視野を広げそのような様々な資源を掘り起こして活用して、必要としている方に提供できるような仕事を展開していきたいと考えています。
都会には自由に使える場所や資源が少ない様に感じます。田舎には森林など資源が数多くあり、不必要と感じる資源を有効的に活用する事で自身の活動スタイルを明確にしておけば様々な可能性を秘めていると思います。これからの時代は地方での起業が面白いものになっていくのではないかと思います。

住所〒669-2432 兵庫県篠山市八上内85−1
連絡先079-506-1573
社員数3名
URLhttps://www.futabacafe.com/
備考