王地山陶器所 陶芸家 竹内保史

・新天地で職人としての第一歩

私は、元々は大阪出身で篠山市に移住して25年になります。知人から紹介で篠山市にある王地山焼が再興して人手を探しているから興味があるなら行ってみないか、と言われたのが切っ掛けで関心を持ちました。私自身、都会の生まれですが田舎のゆったりとした空気感が好きだったので、都会の喧騒から離れ篠山市の王地山陶器所で陶芸家としての一歩を踏み出しました。

・篠山城主が愛した器の歴史

もともと王地山焼の起源は、江戸時代末期の1818年頃にさかのぼり、当時の篠山藩主・青山忠裕が王地山(篠山市河原町)の地に、京都の陶工・欽古堂亀祐を招いて始めた藩窯がその発祥といわれています。当時は煎茶趣味の背景のなかで、中国風の青磁、染付、赤絵を主とした磁器窯でした。
築窯時期から、王地山陶器所として名声を博しましたが、藩の廃止とともに明治2年に廃窯となって以来、その伝統が途絶えていました。
現在の王地山陶器所は、篠山市が昭和63年に再興したもので、今年で約30年になります。
現在は「一般社団法人ウイズささやま」により運営され、独特の緑色の青磁、染付、赤絵などの作品を当時の技法を使って製作しています。併設された展示室での展示・販売のほか、百貨店やギャラリーでの作品展も行っています。その他にも陶芸家による技術指導として、陶芸体験、絵付体験などをおこなっています。

・陶芸家という仕事

私は、高校が美術系の高校でしたから焼き物の基本な技術は、学生時代にある程度身につけていましたので、王地山陶器所に来てすぐ焼き物を作っていました。もちろん学校と現場の空気の違いに戸惑うことや王地山焼という大きな歴史と伝統をいかにして守っていくかと試行錯誤の日々の中、気がつけばあっという間に25年が経ち、多くを学ばせていただきながら現在では王地山陶器所を任されるようになりました。人やスタッフの流れも様々ありましたが現在では、私ともう一人、弟子である「児玉玲央奈」の2名で王地山製陶所の切り盛りをしています。25年の長い間続けてこられたのは、陶芸家としての仕事に魅せられた事とシンプルな篠山市での暮らしが居心地良かったのだと思います。

・王地山陶器所「王地山焼」とは

例えば篠山市にあるもう一つの産地である丹波焼と王地山焼とを比較すると陶器と磁器という違いがあります。
・陶器は「土もの」などと呼ばれ陶土と呼ばれる粘土が原材料です。
・磁器は「石もの」などと呼ばれ原材料は石英や長石などの陶石です。
と言うような特徴的な違いがあります。単純に丹波焼は彫りや細工の段階でそのものがある程度湿っていないと仕事ができません。それにくらべ磁器である王地山焼は乾燥してから取っ手を付けたり、細工ができます。また磁器土は粒子が細かいため、繊細な模様の彫刻ができます。ですがこの細かい彫刻は、大きな壺などになると彫るだけで数日掛かることもあります。その他には磁器土を850℃で焼いた土型と呼ばれるものでおこなう成形法があり、江戸時代に王地山焼を指導していた欽古堂亀祐や、柳亀堂亀七などの陶工の作品を復元した物を中心に、今の時代に合わせ形や大きさを変えた物など、合計で60〜70くらい型があり様々な模様、種類の器を生み出しています。

※王地山焼と型

・「伝統と革新」職人としての2つの顔

私が篠山に来た時点では、王地山焼は再興や伝統の継承と言う考え方が強く自身もそのあたりを考え作陶に励んできました。ですがある程度年数を重ねると、自分の焼き物を作りたいという気持ちが出てきまして、竹内という一人の作家として挑戦していきたいと考えるようになりました。そんな中13年ほど前のある日突然に「竹内保史の作品となる」ある新たな図柄を思いついたんです。もう「ストン」と頭にイメージが落ちてきました。そしたらそれを世に出したいなと思いました。ですから今では、“伝統工芸を継承させるという事“と”新たな分野へと挑戦”していくことで、陶芸家 竹内としての作品で2つの顔を持つようになりました。どちらも大切に育てていく事が今のモチベーションに繋がっています。

※「竹内保史の作品」

※王地山陶器所内に飾ってある作品の数々

・王地山焼の未来

王地山焼が再興して約30年経過していますが、まだまだ知名度が少ないのではないかと感じる時もあります。今後の目標としてはその部分を底上げしていきたいと考えています。その中で、弟子と二人で王地山焼を軸として新たなジャンルにも果敢に挑戦したり、個展などをこなしいきながら一人でも多くの方に手に取ってもらえるように技術を磨いていきたいと思います。そんな伝統と革新の生まれる場所である「王地山陶器所」にぜひ気軽に遊びにきてください。

住所〒669-2325 兵庫県篠山市河原町431
連絡先 079-552-5888
社員数2名
URLhttp://www.withsasayama.jp/ojiyama/
備考毎週火曜定休日(年末年始も休みあり)
開館時間8:30〜17:00