自分のしたいことを追求する革職人

杉尾まりこ

故郷を離れ、帰ってきて気づいたこと

広い場所と静かな時間。何かを作り出すクリエイターにとって、デメリットももちろんだが都会では得難いメリットもある。篠山出身の皮作家・レザーファクトリーSLOTHの杉尾まりこさんは、約4年前にUターンし2年前には自身の工房とショップを構えることになった。
大阪の大学時代に皮と出会って、広島の皮工房で働いていました。元々独立するつもりで勤めていたのですが、仕事を始めて8年目の時に社長にいつまでもズルズルいたら独立できないぞと言われて。”
日中は皮のお仕事をこなし、夜は生活の為にBARでも働いていたそう。その時に貯めたお金でミシンを買い、最初は実家の一室を借りて皮の製作をされていた。

一軒一軒の家が遠いから、夜に作業してても気にならないんですよね。夜遅くまで製作をできたことは良かったなと思います。あと、食べ物を買いに行かなくても実家の畑で野菜を採れるのが、便利だし健康的だなって思いました。あと、丹波篠山ブランドがあって日帰りで観光のお客さんが来ていたりイベントがある事は本当に良かったなと思います。

都会に出る前は嫌いだった「何もない」ことが、一度離れて帰ってきた事で好きになったと話す杉尾さん。夜遊びに行ったりするところが欲しいなと思う事はあるけれど、もう都会に住む事はできないなあと昔の事を思い出すようにお話されます。

使ってくれる人の顔が見えるしごと。

ウチ以外に皮を作ってるところが当時はなくて、篠山にはライバルが少なかったから仕事も依頼が来るんですよ。カバン修理して、って頼むのも他に頼むところがなかったりして、ウチに話が来たり。Facebookで繋がってくれたり、SLOTHのページを見てくれて依頼をくれるお客さんが多いですね。

人口の少ない小さなまちでも色々な要望は出てくるもの。人と人が密に繋がって顔の見えるコミュニティだからこそ、つながりが仕事になっていく。ただ製品を作ることだけでなく人間関係を築いて仕事のつながりを生む事で、その製品を誰に頼まれ・使ってもらえるかがわかる事も、魅力なのかもしれない。

自分自身が何をしたいかを問われるまち

篠山はあんまり移住して来た人たちを手厚く何でもしてあげよう。という感じはあまりないんですよね。さらっとしてクールな人が多い印象があります。だから、何か自分の力があって自分で何をやるかをちゃんと考えている人に向いてるまちだと思います。誰かがやってくれるんだろう、と思う人は厳しいと思う。ただ、頑張ってやっていると本当にみんな応援してくれる。”

自分がやりたいと思った仕事を追求していく。聞こえは良いようでいて、実際に好きな事を仕事としてやり抜くには自分の強い意志が必要になる。そして覚悟を持って活動する人には、誰かが応援の手を差し伸べてくれる。杉尾さんのお話を聞きながら、厳しくも優しい、地域の本質を見た気がした。

プロフィール

名前:杉尾まりこ
性別:女性
年齢:35歳
家族:独身
所属:レザーファクトリー「SLOTH」
移住:2012年4月(Uターン)
出身:篠山市
移住前の居住地:大阪→広島